タイトル575っぽいじゃん
・それってホントに「科学的」?
まずはこれを見てほしい
色々とツッコミどころがあるということで有名な画像だが、実際女性が傷みにうんぬんかんぬんはどうでもいい。今回見てほしいのはここ
「科学で証明された」らしいというところだ。
ツイッターにせよ日常の会話にせよ、眉唾な話を聞けば大抵の人は証拠を求める。
突然「人間は大きい数字を見ると右の方向を連想するよ」とか「ホンソメワケベラという魚は鏡に映った自身を鏡に映った自身だと認識できるよ」と言われて誰が信じられようか。
そこで登場する証拠がソース、すなわち情報源である。その場合大抵提示されるのはニュースサイトであり、さらにその情報源となるのがアカデミックな「論文」である。
ここで不肖の提示したい疑問は、「論文」になってるから「科学的」で「正しい」の?ということだ。
・超能力の存在は科学で証明されたらしいよ
結論から言うとそんなことはない。有名な例だとちょっと前のSTAP細胞がある。
STAP細胞は論文が書かれてその論文も権威ある学術誌に載った。しかし現状はこの様である。このパターンだと追証があったから判明したものの、もしニュースでソースになる論文がこのような作られたものであったら…となると論文をソースとしてそれを真実だと言い切ることに違和感を覚えやすくなるのではないだろうか。
極端な例だと超心理学だろう。簡単に言えば超心理学と呼ばれる学問によれば超能力は存在する。論文も出されている。ではそれを根拠に超能力は存在する、科学で証明されたと喧伝してもよいのだろうか。否、超心理学が絶対に間違っているとは言い切れないものの、超能力の存在は少なくとも確実な真実ではない。存在がにわかに受け入れがたいことであるというのは多少あるが、懐疑派の学者だって大勢いるのにその人達の存在を無視することなんて決してできない。
ここで言い訳がましいものの注意して欲しいのは、不肖が言いたいのは「論文なんて全部嘘っぱちだから学者やニュースなんて信じるな」ということではなく、「論文があるからといって確実に正しいわけではない」ということ。学者だってプロなんだから全員が全員捏造したり常識はずれの研究をしているわけではない。論文は大抵の場合エビデンスに基づいて書かれ、学術誌に掲載される際は査読もされ、これは正しいんじゃあないかと多くの人が納得するものが出来上がる。まあこれ言っとかないと誤解招くかもだし
・ゆたぼんの父のブログを読んで
子どもを信じて何が悪いのか? | 中村幸也オフィシャルブログ「自由に生きるのに遠慮はいらない!」
この記事を読んだ。色々とツッコミどころはあるけれど、この記事で取り扱うのは以下の部分だ
>実はアメリカの調査結果でも「宿題は学力向上に効果なし」という衝撃的な結果が出ています。
>宿題に関する研究の第一人者であるデューク大学のハリス・クーパー氏は、「宿題をすると頭が良くなる」という神話を払拭するべく研究を始めました。
>そして多数の研究の結果を総合的に解析し、子どもが行う宿題に学術的な利益はないと発表したのです。
>念の為に今回の研究に関するソースを貼っておきますね。
賢明な読者諸君なら不肖の言いたいことはもうお分かりだろう。
まあクーパー氏の論文はパッと見た感じ別にわかりやすく間違ったところがあるようには思わなかった(そりゃ素人にわかるわけないじゃん)。被引用数は1000回程度あり信頼性もあるものとしてみていいだろう。けれどクーパー氏は論文の中で宿題には学校で習ったことの復習や独りでの学習習慣を作るといったメリットがあることを述べている。学力向上に関係なしという部分のみ取り上げて錦の旗にすんのはちょいとおかしいんじゃねえの〜?
・心理学者のTwitterが面白い
論文のないカラーバス効果なるものが跋扈するインターネット
ゆたぼんのパパの例のように、科学的に証明された事柄を引用して自分の意見を補強するのはなんらおかしくない。けれど検討の余地があるものをさも揺るがない真実として取り上げるのは少し強引ではないのだろうか。
ところで、心理学の法則はよく引用される。確かに我々が普段なんとなく感じているようなことやふとした疑問は心理学で統計がとられ理論づけられる、といったことが多々ある。そしてそれらの法則はテレビだったりネットだったりで門外漢の我々の目にするところとなる。
【プロセス重視】「努力」をほめられた生徒は、難しい問題でも熱心に取り込み、成績が伸びましたが、「知性」をほめられた生徒は、自分を賢く見せることに気を取られ、失敗すると挫折しやすく、難問に挑んで間違いをおかすリスクを避けるようになったそうです。こちらの論文→ https://t.co/UAQGSe5ok7 https://t.co/GLMb6GH8fD
— 池谷裕二 (@yuji_ikegaya) May 20, 2019
この論文も再現性が疑問視されていますねhttps://t.co/Re9BMvgukwhttps://t.co/vQuBgRxO4i https://t.co/bZfzU431ty
— 'Yuki' Kamitani (@ykamit) May 20, 2019
人は一つよいことをすると、それを埋め合わせるかのように「よいことをしなくていい」感覚を抱く。とある実験で、まずエコ商品か普通の商品のどちらかを選んでもらえるようにし、その後で「ずるするとお金が得できる状況」を作ると、エコ商品をとった人の方が有意にずるをする割合が高かったらしい。
— シータ (@Perfect_Insider) May 17, 2019
「モラル・ライセンシング」の実験も再現性はほとんどないようですhttps://t.co/YS0buBXQw8https://t.co/bI4gA2qgIHhttps://t.co/RrVaSEWqmy https://t.co/G6yIbNqhNC
— 'Yuki' Kamitani (@ykamit) May 17, 2019
伸びてるツイートに対するクソ引用じゃんって思う人もいるかもしれませんけど、こういう疑念があるものが都合よく使われているのに対してそれをちゃんと指摘できる専門家っていうのはかっこいいと思う。ただ一方的に提示されただけだと否定の材料を持たざる我々はそういうものなんだと思い込まざるをえないが、こうしてそれら法則にまつわる知見を教えていただけるというのは非常にありがたい。みんなも@ykamitさんをフォローするとまではいかなくとも非公開リストにいれてひっそり見るくらいはすると面白いかもしれない。
・おわりに
まあ要するに
・論文自体が間違ってるパターンがあるよ
・論文や理論を使う人が組み立てた自説が間違ってるパターンがあるよ
だから論文があるからって主張が科学的な真実ですとはならんやろ
ってこと。
<参考>